DeathLori一章 〜チカラ〜 完結!

ついに残酷なる物語の第一幕が閉幕となりました。
塗色の関係でしばらく時間が経ってしまいましたが、
ここにレビューのようなものを書き記したいと思います。


――世界のどこかでそんなことがあった。ただそれだけのこと

終了した後、暫く放心状態になる。
どうやら、プレイした人はそんな症状に侵されるようです。
予想を遙かに凌駕する知略、そして『死』。
体験版とは云え、他を凌駕するヴォリューム。
このゲームには人の心に届く『チカラ』があります。
それは、戦闘描写の巧拙さだったり、他にない心理描写だったり、現実の下劣さだったり...etc
様々な要素により、それだけのチカラを持った『物語』を形作っています。

――例えば、戦闘

戦闘描写に於いて、尤も重要になってくるのは恐らく、
如何にプレイヤーの予想を裏切るか、ということでしょう。
(良い方向に裏切らなくてはならない)
思うに、チャーさん(シナリオ)は伏線の絶妙な使い手です。
一つの伏線を消化する間に別な伏線が盛り込まれ、
知らぬ間に更に大きな伏線を張られていることもあります。
世界はいつの間にかプレイヤーの想像を超え、展開します。
その技は戦闘にも十分に活かされていると云えます。
通常、戦闘での伏線はフェイントです。

例に出すなら、
@一つの攻撃の威力、それを回避する困難さ等を過剰表現する。
A何らかの手を使いそれを攻略する。
これをAから考え、@の条件を後付けでより困難に設定します。
そこで意外性が生まれ、プレイヤーの反応を得られる訳ですが、
この場合、馴れた人間なら、@の時点でそれが覆るのが分かってしまう訳です。
しかし、このゲームは、このAを更に裏切るといったような形で、
幾重にも応報が繰り返されます。
これによって、先の展開が読みにくくなります。
また、科学の知識などを駆使し、より高度な戦闘が繰り広げられます。


加えて作者は心理関係の知識もあるのか、
9章・10章では人間の心理を利用した知能戦も行われています。


――人形ではなく人間。無様さと低俗さと共存する美しさ

悪く思われがちな言葉で云うならば、この物語は『汚い』。
キャラクター達は決して綺麗なままではありません。
裏切り、卑屈さ、悪心、低俗さ……そのような負の要素を常に抱えており、
常に汚れ、堕落し、そして、弱さが表に滲み出しています。
それは、綺麗な部分だけを(無意識の内に)描写する現代の物語の中では稀な、
より『人間らしい』動きをしていると云えないこともありません。
そこにあるリアルが心を惹き付けるのではないでしょうか。


――否定? それとも……

また、物語中何度も『物語』を否定するという、
メタフィクション的な、或る意味矛盾しているかのような表現がされます。
nYoRoの曖昧な記憶を頼れば、
「物語の中では死ぬことも生きることも出来ない。」
「ただの現実だ。」「神話にはチカラがない。」
(たぶん全部エクスカリバーの人の台詞)
「言葉に大したチカラはない」等の表現がされ、
また9・10話以前では斉の辺りでも物語の否定がなされています。


物語否定的な物語という点で、
エヴァンゲリオンやhollow(TYPE-MOON)と似ているのかも知れません。
しかし、野卑で低俗で卑屈、
集団化へと繋がる辺り、他の作品とは別に(構造的に)面白いと思います。
(にしてもどれをとってもキャラクター指向なのは
現代のゲーム・アニメ・漫画業界の寵児だからか)
文体も某奈須氏と比べれは単調でシビア、そして非常に軽く、
詩的な表現も少ない(記憶曖昧)為に或る意味のリアルが巧く表現されていると云えるでしょう。


――蛇足駄文

と、ここまで書けばもう分ることですが、『物語』と書いた辺りの前半の文章は、
心からの賛辞であると共に、或る意味の、不特定多数に対する皮肉でもあります。
『物語』のチカラに関して。
それに人生を変えうるチカラはあるか。少なくとも私の心には届いたぞ。――しかし?
そんな疑問です。

nYoRoは以前(勝手に)全然ショートじゃない SS を書かせて頂きましたが、
アレは或る意味DeathLoriに対する挑戦でもあった訳です。(笑
(現実と幻想の話)
そして予想通り(微妙に確信犯)結末が■■してしまったのですが、
しかし、チャーさんは或る仕掛けによってダブルフェイントを決めてくれました。
※何のことか分らない人はDeathLoriをプレイしましょう。
今まであまり想定されていなかった生存の可能性を出す辺り、
鬼と云うか魔と云うか。姉というか(違


――『藤石神話』

その結末は、誰しもにとって無価値でしたが、
誰かにとって、少しだけの意味を持っていたのでしょう。
またその生き様は幾人の『心』を揺さぶった。
嘗て愛した人の。消えゆく愛すべき命の。屈強な好敵手達の。名も無き有象無象の――。
そして、不特定多数の傍観者達の?


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